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“いだてん“第35回「民族の祭典」オリンピックに政治が入ってはいかん!

1ポシター
1936年夏。ベルリンで4年後の次回大会の開催地を決めるIOC総会が始まり、嘉納治五郎(役所広司)は「日本で平和の祭典を!」と熱く訴える。その直後に開幕したベルリンオリンピックは政権を握るナチスが総力を挙げて運営する大規模な大会となり、田畑政治(阿部サダオ)を圧倒し当惑させる。マラソンでは金栗四三(中村勘九郎)と同じハリヤマ足袋を履くランナーが出場。水泳では前畑(上白石萌歌)のレースが迫る。
感想:
ヒトラー製作の「オリンピア」を見ながらのベルリンオリンピックの観戦、とてもよかった!!オリンピック記録、何よりもこの時代がわかるという意義が伝わりました。

1940年のオリンピックは開催地・東京と決定された。嘉納治五郎の開催地主張趣旨は「オリンピックは“すべての民族”に開放されるべきものである。極東は今、戦争と平和のはざまにある。だからこそ日本で平和の祭典を開催する意義がある」というものであった。東京が選ばれたのは中国代表の王正廷が協力してくれたこと。さらにヒトラーのIOC会長ラトゥールへの圧力があったという。
こうして認められた東京オリンピック、軍部の抬頭著しい日本でどう進めていくのか。なかでも中国を納得させられるのか、治五郎には大きな責任が課せられた。

1936年のベルリンオリンピックは、強力な軍事政権のもとユダヤ排斥を隠して行ったナチス・ドイツ民族の力をアピールの場と化した。政治を持ち込まない平和な民族融和の場としてのオリンピックを行うことの難しさが描かれた。
田畑は目の前で繰り広げられる徹底的に統制された豪華絢爛たる大会運営に圧倒されるが、ロサンゼルスの経験から、自由が制限され、選手間の交流のない大会運営に強い嫌悪感を示した。田畑もまた東京開催における大きな問題にぶち当たることになる。しかし、この不満を晴らすように、前畑に勝って欲しい!

ベルリンでの陸上選手の活躍は、フィールド競技で、幅跳び・三段跳びの田島直人選手、棒高跳びの西田修平選手、大江季雄選手の活躍があった。
特にマラソン競技では孫、南選手が金、銅という日本マラソン界悲願の成果をあげ、日本中は歓声に包まれた。しかし、両選手が朝鮮出身者であり、両者を讃えての国家「君が代」と日の丸には、複雑な感情があった。ここにも、民族の祭典と言いながら悲劇があった。この悲劇を二度と繰り返してはならず、大河ドラマで描いたという意義は大きい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/孫基禎

金栗に劣らない厳しいトレーニングや金栗シューズを通じての絆あっての勝利。この勝利に金栗やハリマヤが大きな喜びを表したことに、政治を抜きにした“スポーツのすばらしさ”に感動した。

四三は小松(仲野太賀)をともなって上京しハリマヤを訪れると、なんと関東大震災で行方不明になったシマそっくりのリク(シマの娘)に出会った。(笑) 杉咲花さんにまた会えるとは粋な演出。今度は幸せな花ちゃんにして欲しい!

***
昭和36年秋、五りん(神木隆之介)がハリマヤ製作所を訪れ、古い集合写真を見つけるが「父も母も映っていない」というシーンから始まった。五りんの母と父の出会いが、ひとつのテーマでした。
2四三、上京

四三は小松を連れて5年ぶりに東京へ戻り、ハリマヤ製作所を訪れた。すると若い女工が姿を見せた。なんとシマちゃん!!
関東大震災で亡くなったシマだと抱きついたら「娘のリク」ですと声を上げた。
夜の四三の歓迎会。リクはハリマヤで働き父と大塚で暮らしているという。
四三は「聖火リレーのランナーになる。そして、小松を東京オリンピックのマラソン選手に育て、金メダルを取らせる」と皆に紹介した。小松は東京の学校に入る手続きを終えていた。小松はリクにひとめぼれしたようです!そしてリクは小松のためにはじめて金栗足袋を作った。
10リク

この頃、日本のマラソン界は、日本統治下の朝鮮出身のランナーが席巻していた。代表格は孫基禎、南昇竜は金栗足袋を着用しているという。小松は辛作(三宅弘城)に、孫の足型を見せてもらい闘志を燃やした。

7月31日、ベルリンオリンピック開幕前日に、ブランデンブルグ門の側のアドロンホテルでIOC総会が開かれた。4年後のオリンピック開催都市が決定される場に、治五郎、副島(塚本晋也)、政治がいた。最終決定は、ヘルシンキとの一騎打ちとなった22。米国の代表ガーランドとブランデージがロスでの日本の協力に感謝し2票を投じると伝えてきた。これで22票が集まり、あと2票が必要と票読みをしているところに、中国代表の王正廷が通りかかった。彼は満州事変交渉の当事者。この表が入るか?「東京が選ばれない場合は日本はIOCを脱退する」と覚悟して治五郎は最終スピーチに臨んだ。
4津京オリンピック決定
「すべての大陸、くべての国、すべての民族にオリンピックは等しく解放されるべきである。“極東は今、戦争と平和のはざまにある”。だからこそ日本で平和の祭典を、紀元2600の東京で開催したい」と演説し、大拍手を得た。

午後3時、東京対ヘルシンキの投票が始まった。開票の結果は東京の勝利した。アジア初のオリンピック開催の瞬間だった。政治は歓喜した!!
治五郎が王正廷に手を差し伸べお礼を述べると「アジア人として東京を支持した。スポーツと政治は関係ない」と返してきた。感動するシーンでした。
ところがラトゥールが政治に「ヒトラーにお礼を」と耳打ち。政治は困惑した。

東京オリンピック開催決定はラジオ中継で日本に伝えられた。担当アナは河西(トータス松本)。マイクを向けられた副島は感激ですすりなくばかりだった。代わりに治五郎が「24年前にわずか2名の選手を連れてストックホルムに行ったときは、まるで勝海舟が渡米したときのような気持ちだった。金栗君、三島君、ありがとう」と語りかけた。
この言葉を四三はハリヤマ製作所で辛作や小松と聞き感動。四三は早速小松を連れ出し「東京まで4年しかない」と走り出した。

それから3日間、東京はお祭り騒ぎとなった。2・26事件も戒厳令もすっかり忘れられ、花火が上がり、祝いの提灯行列が行われた。

8月1日、聖火ランナーがブランデンブルグ門に到着し、熱狂とともにベルリンオリンピックが開幕した。ヒトラーはかって「オリンピックはユダヤの汚れた芝居」と揶揄したが、ゲッペルスの助言で態度を急変させ、総力を挙げてオリンピックの準備に取り組んだ。10万人収容のスタジアムを作り、初の聖火リレー、映画製作「オリンピア」(監督レニ・リーフェンシュタール)を行うなど、オリンピックはナチのプロパガンダの一環になっていた。
9監督

政治は、ベルリンの街を走る聖火ランナーの周囲を兵士が取り込むさまや、五輪の旗とナチスの旗が並んではためいている光景を目にして、河野(桐谷健太)が話した「ヒトラーがラトゥールに圧力をかけ、日本に恩を売ったんだ」を思い出し、ヒトラーのやり方に違和感を覚えた。
ヒトラー製作映画「オリンピア」の映像からでしょうか、この情況を目にすることができました。今の北朝鮮のパレードでした!

ヒトラーのやり方に合わせるように、日本選手団のユニフォームはブレザーに灰色の戦闘帽というもの。政治は、開会式で、ロサンゼルスオリンピックの時のカンカン帽をかぶり、「俺はスポーツをやりに来たんだ。歩くのは戦場ではない競技場だ。ナチに媚びているのか日本軍への気遣いか知らんが、こんなものはオリンピック精神に反する」と抵抗した。

開会式は何もかもが豪華絢爛で、ドイツ人らしい統制のとれた選出に日本人はただただ圧倒されるばかりだった。ラトゥールが嘉納に「東京は東京のやり方でいいんだ!」と声を掛けた。嘉納は「責任は重い。中国が協力してくれたことを重く受け止めている。本国でひどい目にあっているのではないか?しかし、オリンピックはアジアの悲願なんだ」と先行に不安を示した。

選手たちが「ハイルヒトラー」と真似ている。政治は不快感を示す。郵便物は検閲される。ロサンゼルスでは、選手村で各国選手と交流できたが、ベルリンではこれがなかった。政治にはこれも不満だった。日本選手団の担当通訳はユダヤ人のヤコーブだったが、ヒトラーが大会期間中に限っての特別な差別緩和だった。このときまだ試作中のTVが展示されたが、映りが悪い!

8月2日に始まった陸上競技は波乱の幕開けとなった。男子100m走でメダルが期待されて“暁の超特急”こと吉岡隆徳選手が予選で敗退した。吉岡は過度の期待に押しつぶされ不眠症になり、半年ほど睡眠薬が手放せなくなっていた。
このとき活躍したのがアメリカの黒人オーエンス選手。ヒトラーは白人選手が負けたとオーエンス選手と握手しなかったという。

その後は田島直人が走り幅跳びで銀メダル、三段跳びで金メダルを獲得。棒高跳びでは西田修平と大江季雄がそれぞれ銀メダル、銅メダルを獲得した。この情況を、映画「オリンア」で観ることができ、これはよかった。

陸上の最終競技であるマラソンでは、日本から孫、南、塩飽玉男の三選手が出場した。
号砲とともに28国、56人がスタート、ロサンゼルス大会優勝のアルゼンチン選手・ザバラを先頭にスタジアムを後にした。折り返し地点では1位ザバラ、2位イギリスのハーバー、3位孫。暑さのため途中棄権する選手が続出し、33km地点で優勝候補のザバラまでもが棄権した。これも「オリンピック」で観賞。
5孫選手。当時

四三はマラソンの結果をハリマヤのラジオで知った。「孫1着、孫1着、2着ハーバー、3位南昇竜!わが国は苦節20数年にして、孫君によりマラソンのテープは切って落とされたのでした」。
アナウンスは山本照(和田正人)の放送を聞き、日本は国を挙げて喜び、四三が「ありがとう、ありがとうございます」と涙した。
7マラソン中継、アナ
孫の優勝を讃えて日章旗が掲げられ、国家が演奏された。だが、孫と南選手はこのことを知らなかった。

ラジオから流れる「君が代」を聞きながら、辛作の息子・勝蔵(波多腰由太)が「どんな気持ちだろう」とつぶやいた。すると辛作が「うれしい。日本人だろうが朝鮮人だろうがアメリカ人だろうが、俺の作った足袋を履いて走った選手はちゃんと応援するし勝ったらうれしい」と返した。
6辛作
四三は「よかった!よかった!ハリマヤの金メダルばい」と叫び、辛作を表に連れ出し、町内の人々とともに胴上げして喜びを分かち合った。

政治は大会のやり方に不満で、真夜中練習プールに出てくると前畑が練習している。「俺は好きでないんだこのオリンピック」と話しかけると、「私は好きになります。金を取ったら好きになります」という。「そうだ、頑張れ!」
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「人間失格 太宰治と3人の女たち」(2019)

1ポスター
二階堂ふみさん出演作ということで観賞。太宰治の名前を知っている程度の文学音痴です。小説「人間失格」に何が書いてあるかなど全く知りません。(笑)
この作品は、太宰が3人の女性と交わるなかで、俺は人間として失格だと、「人間失格」を書き、書き終えて命を絶つというはなし。

監督は「さくらん」「ヘルタースケルター」の蜷川実花さん。主演は小栗旬さん。3人の女性を宮沢りえ・沢尻エリカ・二階堂ふみさんが演じています。ほかに藤原竜也・高良健吾・成田凌・千葉雄大・瀬戸康史さんら豪華キャストが参画。

あらすじ:
複数の女性と浮き名を流し、自殺未遂を繰り返す天才作家の太宰治(小栗旬)。その破天荒で自堕落な私生活は文壇から疎まれる一方、ベストセラーを連発してスター作家となる。やがて身重の妻・美知子(宮沢りえ)と2人の子どもがいながら、同時に2人の愛人、作家志望の静子(沢尻エリカ)と未亡人の富栄(二階堂ふみ)ともただれた関係を続けていく。それでも夫の才能を信じる美知子に叱咤され、自分にしか書けない小説に取りかかる太宰だったが…。(映画COM )
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「人間失格 太宰治」というが、ダメ男でモテ男の中途半端な生き方も、こういう生き方をした人を多く見てきて、格別に驚くことではなく、「傷ついた者だけが美しいものを作り出す」と小説家ならこういう生き方をしてもおかしくない。
彼は、破天荒な行動をしているようで、実はそれを打ち消すような行動をとっていて、真似しようとは思いませんが(笑)、人として見れば愛すべき味のある人です。そして小説とは何か、何を読者に届けるかと考え続けた生き様に共感できます。

ラストの太宰と富栄の入水シーン。太宰が入水してぱっと目を開けますが、生きてもっと書かせたかったという監督の心遣いだと解釈しています。

そんな太宰に引きずりまわされて、地獄を見るのかというと、全く違う。3人の女性がいずれも自分の意思で動き、本望を達成しています。その生き方は、現社会の女性に通じています。

本作のテーマは何かが見えにくいですが、監督が、太宰を書こうとした狙いはここにあったのだろうと思います。

三人の女性の生き方を宮沢さん、沢尻さん、二階堂さんが見事に演じてくれています。監督らしく、女性の生き方が色彩で表現されていました。

宮沢さん演じる美知子。太宰の才能に惚れ、女ができようが、金を入れなかろうが、ひたすら夫の才能を信じる美知子に太宰は甘え、「壊しなさい、私たちを」とこれを許す美知子。凛としてゆるぎない太宰への献身。時に絶望し、子供と顔に墨を塗り苦しみに耐えようとする宮沢さんの演技は見事でした。小説を書き上げて亡くなった夫への“はなむけ”が洗濯、命の洗濯とは美智子らしいです。
2美知子

沢尻さん演じる静子。太宰が見せて欲しいという日記を担保に、太宰との恋を楽しみ、子をもうけ、太宰死しては自ら本を出版するという、自分の思うがままに生きる静子。沢尻さんの明るく、清潔感があって、大胆な演技が見事でした。
3静子

二階堂さん演じる富栄。戦場で行方不明の夫を持つ身。いきなりメガネを外され「君は僕が好きだ」とキスされてメロメロになり、愛欲の限りを尽くして太宰を虜にし、胸を患い血を吐きながらこれに応じる太宰、それでも満たされず最後には一緒に死ぬという本望を遂げる。愛に執念深い女性を二階堂さんが体当たりで演じてくれました。
4富栄
小栗さん演じる太宰。静子と冨栄と愛欲生活しながら、美知子のところに帰るときは身を縮め神妙な顔をしている。祭りの風車がぐるぐる回るとそれが子供の顔に見えてくる。静子の子の写真を見れば自分に似ていると喜ぶ。いたるところに懺悔の気持ちを持ちながら、放蕩のかぎりを尽くすという滑稽な男です。それでいて文壇のお偉い先生には激しい闘志を見せ、最後には「殺す!ぶっ壊す」と書き突き進む。複雑な感情の持つ太宰、特に後半の痩せこけた狂気の太宰を、小栗さんが魅力的に演じています。

監督独特の色彩・構図、キャステイングが絶妙で物語に引き込まれ、楽しめる作品でした。監督には、太宰を描くというのは大変な勇気がいったでしょう。ある部分、自分を重ねているかもしれませんね!!
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「アベンジャーズ エンドゲーム」(2019)

1ポスター
壮大な宇宙戦争の完結、11年にわたり重ねてきたMCU作品の総括作品でした。
すべての作品を一巡りし、トリビアの満載。フアンにはたまらないでしょう!そしてもう一度これを確認に行くでしょうね。(笑)
キャスト・スタッフ:
https://eiga.com/movie/84951/

前作「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」で、宇宙最強の敵サノスに立ち向かうも、ヒーローたちを含めた全人類の半分を一瞬で消し去られてしまうという敗北を喫したアベンジャーズが、残されたメンバーたちで再結集し、サノスを倒して世界や仲間を救うため、史上最大の戦いに挑む姿を描くという、

消えたメンバーを取り戻したいというアベンジャーズの絆。
この絆に泣けます。どのような作戦があったか。量子世界に入って時間を戻し、必ず取れるところでインフィニティ・ストーンを集め、指パッチンしようという作戦。驚きました!
事前に強力な力を持つキャプテン・マーベルが公開されただけに、これを当てた人は痛快だったでしょう!
いまだに、ドクター・ストレンジャーの読みは分からないですが・・(笑) この世界感を生み出したマーベルが凄い!
2量子世界へ

もうひとつ、ビランのサノス。
アベンジャーズから見ればとんでもないやつに見えますが、「宇宙のバランスを保つ」という哲学で動くから憎めない。ソーにより切り落とされたサノスの首を見るネピュラの表情。痴呆状態のサノスを殺す必要はなかった?
ネピュラのこの表情は、もう一度父にチャンスを与えると2014年の世界のサノスを呼び戻す展開はおもしろかった。この戦争の首謀者はネピュラかもしれない!
6サノス、さらば

ぶれないヒーローたちの生き様
スティーブとトニーの友情。宇宙から戻ってきたトニーにあれほどひどいことを言われながら見捨てないスティーブの友を見捨てない生き方。最後には身体改造選抜試験で彼を押してくれたペギー・カーターの元に帰るという・・。
4シティーブ、さらば
いい加減なやつに見えて、開発することを諦めないトニー。アイアンマンとしての最後の決死行動、その後もカンカンとハンマーを振るう。
3スターク、さらば
ナターシャが見せたクリントへの愛、その結末。ナターシャの死に泣いたブルース・・・・・
5ナターシャ、さらば

ヒーローたちの総力戦
サノスとアベンジャーズのヒーローたちが総力で戦うシーンがすごかった。なぜサノスはガントレットで指パッチンできなかったか? なかでもキャプテン・アメリカ、マーベル、ソーの戦い振りが凄かった。
この戦闘シーンには、11年間のシナリオが詰まっていて、そう簡単には現れますまい。

とりあえず、宇宙に平和が訪れたようです。「エンドゲーム」は過去のいずれの作品にも光を落としています。これを楽しむには、何度もこれら作品を見直すことだと思います。
*****

「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018) ねたばれ

1ポスター
アベンジャーズ崩壊を見透かし、練りに練ったサノスのインフィニティ・ストーン奪取戦略で、ヒーローたちが完膚なきまでに叩きのめされる物語。圧巻のストーリー展開と戦闘シーンで描かれる物語に感動しました!!

「アベンジャーズ」の実写映画シリーズ第3作目。「MCU」シリーズとしては第19作品目の映画。
監督はアンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ。スッタフ・キャスト:
https://eiga.com/movie/84139/

あらすじ:
6つ集めれば世界を滅ぼす無限の力を手にすると言われる「インフィニティ・ストーン」を狙い地球に襲来した宇宙最強の敵サノスに対し、アベンジャーズが全滅の危機に陥るほどの激しい戦いを強いられる。
              *
見どころは、この戦を首謀するサノスの生き様。敗北のなかで予言したスティーブン・ストレンジの戦略、そしてカンネーの戦い“を彷彿とさせる最終戦ワカンダでの壮大な戦闘。
生き残ったアベンジャーズは、いかにサノスに挑むべきか。この壮大な宇宙戦争の決着を見届けたいと次作を待ちきれないという気持ちにさせてくれます。

****(ねたばれ)
「ソコヴィア協定」を巡り分裂したアベンジャーズの弱点を突くように「パワーストーン」を手にしたサノスは自らが地球に向かう“アスガルドの避難船”を襲撃し「スペース・ストーン」を、腹心を“ニューヨーク” “スコットラン”に派遣して「タイム・ストーン」「マインド・ストーン」を狙うという3地域同時作戦とストーンの数を増やしながら最終戦に臨むという作戦がみごとです! 

アスガルドの避難船「ステイツマン」:
パワーストーンを持つサノスにソー、ロキ、ハルクはなすすべもなく「パワーストーン」を奪われた。この際、ヘイムダルが自分のもつ全エネルギーを使ってハルクを船外に出し地球に向かわせた。ロキは兄のソーを庇ってサノスと戦い殺された。このことにソーは泣いた!
サノスはステイツマンを破壊して、「リアリティ・ストーン」を目指してノーウェアに跳んだ。ソーは宇宙ゴミとして宇宙を漂っていた。(笑)

ニューヨーク:
ハルクはサノスに殴られ、その衝撃でブルース・バナーとなり、ハルクには戻れない身体になっていた。(笑)
ブルースはストレンズに「サノスにストーンを盗まれた。ここにやってくるかもしれない」と伝え、ストレンジともにトニー・スタークに対応を話合いにゆく。トニーはスティーブ・ロジャースが必要だというが、まだ「スコビア協定」のわだかまりがあり、連絡を躊躇している間に、サノスの大型宇宙船Qシップでエボニー・マウとカル・オブシディアンが現れ、襲い掛かる。登校中のスパイダーマンもQシップを見て駆けつけた。ここでの戦闘がなかなかの見せ場。
2ニューヨーク

エボニー・マウがストレンジをQシップに閉じ込めたまま飛び立つ。飛び立ったQシップをアイアンマン、スパイダーマンが追い船内に侵入して、エポニー・マウを罠にかけ、宇宙に放出する
アイアンマンとストレンジが事後の行動について協議。ストレンジは地球へと戻るよう主張するが、トニーは、地球での戦闘には大被害が出るとサノスをタイタンで待ち伏せて倒すことを主張。トニーにはソコヴィアの記憶が消えていなかった。ストレンジがタイム・ストーンをサノスに渡さないことを条件に同意する。この判断が正しかったか?

「スコットランド」
ワンダ・マキシモフとヴィジョンは、アベンジャーが分裂後、ここスコットランドで住んでいた。ふたりで外出中にサノス副官のコーヴァス・グレイヴとプロキシマ・ミッドナイトに襲われ、ふたりは激しく戦うが、ヴィジョンが負傷を負った。が、そこにブルースから連絡を受けていたスティーブ、ロジャーズ、ナタシャ人が現われたため、コーヴァスたちはストーン奪取を諦めて撤退。
3ヴィジョン

スティーブたちは、ヴィジョンの持つ「マインド・ストーン」をどうすべきかとアベンジャーズ本部を訪ねた。本部にはまだ怪我が癒えないジェームズ・ローディがいた。彼らはヴィジョンを守るためにマインド・ストーンを摘出すべきと優れた医学技術のあるワカンダ王国へ向かった。

「ミラノ号」
宇宙を遊弋中のガーディアンズたち。ミラノ号のワイパーに引っかかったソーを救出。(笑)
4救助されたソー
ピーター・クイルはサノスの宇宙制覇の話を聞き、ガモーラ、ドラックス、マンディスを伴って「リアリティ・ストーン」を保持しているノーウェアのタニリーア・ティヴァンの店に向かう。この際、ガモーラは「万一サノスに会って危機に陥った場合は殺して欲しい」とクイルに話すが、クイルには理解できなかった。
一方、ソーはサノスと戦うには武器が必要と、ムジョルニアに代わる新たな武器を求めて惑星ニダベリアへ向かう。これには、パイロットとしてロケットと相棒のグルートが加わった。

「ノーウェア」:
ノーウェアに辿り着いたクイルたちは、タニリーアから「リアリティ・ストーン」を手に入れたサノスと対峙した。ガモーラがいきなりサノスに斬りかかり、胸を突かれたサノスは「なぜだ!」と怪訝な顔を見せる。
6タイタンのアベンジャーズ
サノスにはゼホベリ星を攻め全滅させた際、ガモーラを養女として、「宇宙の平衡を守るためだ」と渡したナイフで無心に遊ぶガモーラの姿しかなかった。サノスには「宇宙の平衡を保つ」という大義にために戦を仕掛けるが、これが悪であるという意識は全くない。だから、ガモーラが父である自分に剣を向けることが分からなかった。大義のために徹底的にガモーラを鍛え、王座をガモーラに譲る気でソウル・ストーンを探す旅に出していたのだった。
「見つかった?」と聞くサノスに「ない」いうガモーラ。サノスが責めると、ガモーラーはクイルに「私を撃って!」と叫ぶ。サノスはガントレットの強力な力で、クイルらを退け、ガモーラーをサンクチュアリⅡに連れ戻した。

サンクチュアリⅡにはサノスを殺しにやってきて捕えられ拷問にかけられている義妹ネビュラがいた。ネピュラの頭脳の中は調べられており、ガモーラはもはや誤魔化せなかった。
サノスとガモーラがヴォーミアに発ったのち、ネピュラはマンティスに援助を要請し、Qシップでタイタンへ急いだ。

「惑星ニダベリア」:
ここに辿り着いたソーたち。ここでサノスがガントレットを作り、その後工房は破壊されていた。ソーは職人のエイトリを元気づけ、ムジョルニアを超える王の武器ストームブレイカーを手に入れ、ロケットの操縦する「Mショップ」でワカンダに急ぐ。ソーはロケットから目玉をプレゼントされた。(笑)

「惑星ヴォーミア」:
サノスはソウル・ストーンが存在するという岩壁に立って、案内人レッド・スカルから「ソウル・ストーンを手にするには愛するものの魂と引き換えだ」と聞かされる。ガモーラは「何も愛してこなかった者への罰だ」と微笑むが、サノスはガガモーラに涙を見せ谷に突き落として「ソウル・ストーン」を手にした。サノスにはガモーラへの愛はあったが、それ以上に「宇宙のバランスを保つ」という大義への思いが絶対的だった。

「タイタン」:
先着のアイアンマン・ストレンジ・スパイダーマンたちと駆けつけたクイルたち、の間で戦闘になったが、互いの敵や目的が同じであると知り協力して闘うことに。(笑)

ストレンジが時空を超えて未来を見てきて「1400万605通りのなかに勝てるものが1つだけある」と語る。答えはエンド・ゲームで!
7ストレンジの予告

やがてサノスが到着し戦いが始まる。ヒーローたちの奮戦で、サノスの動きを止めた。しかし、クガモーラの死を知り激高したクイルがサノスの意識を呼び戻してしまい状況は逆転、サノスはタイタンの月を隕石として落下させヒーローたちを追い詰め、サノス一撃がトニーを貫く。この窮地を救うためストレンジはサノスにタイム・ストーンを差し出した。サノスは5個のストーンをガントレットに収め、ワカンダに跳んだ。

最終戦「ワカンダ」:
国王ティ・チャラがスティーウ・ナターシャ・サムらヒーローたちを受け入れヴィジョンからのマインド・ストーンの摘出手術を行っていた。
そこに、ヴィジョンを追ってプロキシマ・ミッドナイトらブラック・オーダーが無数のアウトライダーズを引き連れ襲来。ティ・チャラはワガンダ兵のバリアで損耗させ正面で損耗させ、左翼を開放して敵を誘導しせん滅を図ろうとする。
7最終決戦

ヒーローたちが苦戦する中、ソーたちが飛来し圧倒的戦力の加勢に戦況は好転。ワンダはヴィジョンの最期の願いを聞き入れ、彼もろともマインド・ストーンを破壊した。

しかしサノスが出現して戦況が一転。ヒーローたちを次々に倒し、返り討ちにして行く。サノスは、タイム・ストーンの力で時間を巻き戻し、再生したヴィジョンの頭部からマインド・ストーンを抉り取る。
全インフェニティ・ストーンを手にしたサノスの指パッチンで、全宇宙の半分の生命がチリとなって消滅した。

生き残ったスティーブやトニーは途方に暮れ、サノスは夢の中で幼いガモーラに「役割を終え全てを失った」とつぶやき、何処かの惑星で日の出を眺めていた。
7サノス
               *
サノスのキャラクターに圧倒されました。「宇宙のバランスを正す」ことに娘さえ差し出す。非情に見えて、数千年単位の物差しで見れば、宇宙人にとってはかけがえのない人。指パッチンで宇宙の生命の半分を消すという、これは自然界の大地震や台風をモチーフにしたような人だ。自分の人生においてもこういう怖い人はいた。しかし、今となっては、最も感謝すべき人になっている。
****

「風をつかまえた少年」(2018)教育が生き方を変える!

1ポスター
大変評判がよく、NHKの「あさイチ」で取り上げられた作品。やっと観ることができました。タイトル通りの主人公の感動的な物語でしたが、そのバックグランドである貧困国“マラウイ”(6位)の因習をぶち破った教育のすばらしさに感動しました。

冒頭で描かれる、風で砂が巻き上がる大地、枯れてなびくトウモロコシ畑、葬儀列の先頭をゆく「グレワンクール」、色彩豊かな衣装の女性たち、目の澄んだ人たち、アフリカンメロディー。
マラウイの光景とここに住む人たちの日常が鮮やかに写し出され、なかなか観ることのない世界に誘ってくれます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/マラウイ

監督はアカデミー賞作品賞「それでも夜は明ける」(2013)でアカデミー主演男優賞にノミネートされたキウェテル・イジョフォー。
主演は、オーディションで見つけたマックスウェル・シンバ、共演に監督自身、マラウイ出身本作で女優デビューのリリー・バンダ、セネガル・ダカール出身のアイサマイサ、南アフリカ出身のレモハン・ツィバ、マラウィ出身フィルベール・ファラケサらです。

はしがき:
2001年、アフリカの最貧国のひとつマラウイを大干ばつが襲う。14歳のウィリアムは貧困で学費を払えず通学を断念するが、図書館で出合った1冊の本をきっかけに、独学で風力発電のできる風車を作り、畑に水を引くことを思いつく。しかし、ウィリアムの暮らす村はいまだに祈りで雨を降らそうとしているところで、ウィリアムの考えに耳を貸す者はいなかった。それでも家族を助けたいというウィリアムの思いが、徐々に周囲を動かし始める。(映画COM)

***(ねたばれ)
物語には「クフェサ」(種まき)、「ククラ」(生育)、「クコロラ」(収穫)、「コンジャーラ」(飢え)、「ムポヘ」(風)の章立てで、農作物の生育状況に合わせるように国や組合の動き、家族の暮らし、主人公の行動が描かれます。こうして、風車発電を作り上げるまでの環境を広くとらえているのがいい。

冒頭で、主人公ウイリアム(マックスウェル・シンバ)の叔父の葬儀が執り行われ、牧師が「死者が何を残したかでその人を知る」として叔父がこの地を切り開いた人であったことを皆に披露し「この仕事を継ぐ」よう促します。そして、皆で叔父を「グレワンクール」で見送る。
2お祭り
このようにして、農民はこの地に踏み踏み留まり、繰り返される旱魃にどうしようもない辛い運命と諦めて背負う運命サイクルが出来ていた。
洪水が予測されても、旱魃が予測されても田を耕し続ける父・トライウェル。きっとうまくいくと信じ一生懸命やっておればなんとかなるという農業を、この土地固有の風を生かした風車発電で変えていくという、ウィリアムの葛藤は想像を絶します。

「クフェサ」(種まき)
「種まき」、ラジオで雨を気にするシーズン。ウィリアムは日本でいう高校に入学。子供たちの15%ぐらいだそうです。
土地を持たない父親には異例のこと。しかし、このことが家族を、村を救うことになりました。

ウィリアムは入校式を終えると担任のカチグンダ先生(フィルベール・ファラケサ)に「学費の未払い分がある」と学費を納めるよう言われる。先生にはウィリアムの姉・アニー(リリー・バンダ)と付き合って、彼女に大学教育を受けさせたい思いがある。

雨が降り続き、ニュースでモザンビークでの洪水被害が伝えられる。集会ではもうタバコ栽培は出来ないと土地を売る、木を伐採して生計を立てようとする。土地を持たない父親には、兄の土地で愚直に農業を続けることしか生きる道はなかった。
放課後、父の農作業を手伝い、小鳥を獲って食料にしようとする。(笑) 廃品集積所をあさり、電気部品を拾ってくる。電池などでラジオ電源に困る人を助けていた。
先生の自転車を見てダイナモでライトがつくことを知った(父の自転車には装備されてなかった)。のちの風車発電の着想につながっていく。
この廃品がどこから出たものかはっきりしない。車両の廃品もあることから、街に住む裕福な外国人が捨てたもの?社会構造に大きな歪みがあるようです。

雨が降り続き、もう農業はできないと父は村長のところに出かけ訴える。この時期、アメリカでテロ事件が発生し、海外支援の影響も予想される。

「ククラ」(生育)
日照りで葉っぱが枯れる。母・アグネス(アイサマイサ)は娘・アニーに「20年前にこういう危機があった。これを切り抜けたのは妻たちだった。いい嫁になりなさい。いい人いるの?」と聞きます。アニーは「この村にはいない」と答えた。
危機の辛いことが、弱い女たちに掛かってくるこの皮肉。しかしアグネスは、家計をやりくりして、ウィリアムに教育を受けさせるという叡智がありました!アグネスのいつの子供を抱っこしている姿が印象的でした。 
3母と父

ウィリアムは廃品置場でバテリーを拾い、これを充電すれば、風車を回せるのではないかと考え始めた。
先生が姉と密会していることを秘密にすることを条件に、図書館のエティス先生(ノーマ・ドゥメズウェニ)を紹介してもらい、「Using ENERGY」という本を見つける。
この本で、“風車”でダイナモを回して電気を起こし、バテリーに貯めて、モーターを回して水をくみ上げるシステムを学ぶ。この書物は貧民支援としてアメリカ大使館が贈ったものだという。このシステムを作るためにウィリアムは廃品置き場を漁った!

折しも大統領選挙。村長が応援に出かけ、災害支援要請のお願いしたところ、連れ出され、拳銃で脅され負傷させられるという事態をウィリアムが目にする。
5選挙運動
この国には、貧民に対する政治がない。貧困の原因が、旱魃だけではないことを示唆しています。父親は困れば村長のところに相談にいくが、こんなことで旱魃は解決出来ない、「自分で道を探さねば」と強く思ったのではないでしょうか。

「クコロラ」(収穫)
保存してある食糧は70日分しかない。次の収穫までどうするかと心配するアグネス。
屋根のブリキを剥がして金に換える。急激な物価上昇で父は抗議行動に参加し家を空けるようになる。
姉のリリーは先生の家族と会話ができないと家出を渋っていた。この国は多民族国家で、言葉という障害がある。

ウィリアムは内緒で授業に出ていたが、金を払えないと退学になった。母・アグネスは校長に「先祖のように雨ごいのお祈りをしない。学校で学ばせたい」と願い出て、図書館だけは使えるようにしてもらった。

こんなときに泥棒に入られ、食料を盗まれる。母・アグネスが泣き叫ぶ!食料危機になってきて、盗難事件が増える。
緊急に食料配給がなされることになり、ウィリアムが父代わりに受け取りにいくが、受けられない人が大勢押しかけ暴動が起きる。外国の援助支援があっても端末までうまく配分されないという現実がある。
6暴動

15kgの配給を受け、家族は1日1食として、夜だけ食べることにした。

「コンジャーラ」(飢え)
1日1食、飢えをしのいで乾燥した畑を耕す。愛犬カンバには餌が与えられなくなった。姉・リリーが食扶持が減るようにと先生と駆け落ちした。これは母に大衝撃を与えた。

しかし、先生はウィリアムが望んでいたダイナモを残して行ってくれていた。このダイナモでモデルの風力発電機をつくり、ラジオを鳴らし、このやり方で実用できると説明し、沢山の協力してくれる仲間を得た。そして、姉・リリーに「先生の自転車のダイナモがあれば発電できる」と訴えたが、返事は「わからん」だった。

父・トライウェルにもモデルを見せ、「自転車を譲って欲しい。私にはお父さんの知らないことを知っている」と申し出たが「唯一の移動手段、ばかばかしい!」と受け付けてくれない。これが一番の難関だった。そして、愛犬カンバが亡くなった!

この状況で母アグネスが「あなたに従って全てを失った。大地もアニーも。教えて欲しい、失わないことを」と泣いてトライウェルに訴えた。
7自転車を譲る

「ムポヘ」(風)
父親が「土地を失い、これで全てを失った」と自転車を譲ってくれた。ウィリアムは「違う、私を学校にやってくれた。すべてではない。風を使ってうまくやっていく」と答えた。
友人たちの助けを借りて、木を倒して櫓を組み、風車を取り付け、電力発電を開始した。
8完成
                
学問は、物つくりだけでなく、制度や偏見などいろいろな壁を壊してくれ、貧しさから逃れる大きな力であることが分かります。沢山の暖かい手が差し伸べられることを願ってやみません。
***

“いだてん”第34回「226」「オリンピックは東京にかぎる」

3IOC会長の案内2
1936年2月。陸軍の青年将校らによるクーデター、2・26事件が発生。閣僚らが暗殺され、田畑政治(阿部サダオ)の勤める新聞社も襲撃を受ける。戒厳令下の東京でオリンピック招致活動を続けることに田畑は葛藤。嘉納治五郎(役所広司)とも対立するが、IOC会長の候補地視察の案内役を任せられる。熊本では金栗四三(中村勘九郎)がスヤ(綾瀬はるか)と幾江(大竹しのぶ)を前に、招致するため上京したいと訴えるが・・・。
感想:
2・26事件、銃剣を突きつけられ“あの政治”でさえ弱音を吐く映像はよくできています。(笑) このような恐怖のなかで、「オリンピックこそ平和の明かしである」と信じて疑わない嘉納治五郎の胆力がすごい。

「ムッソリーニ説得を指示したのは自分である」と謝り、東京オリンピック開催の全責任を取ろうとする潔よさがいい。こう人は、今の日本で見つけるのが難しい。(笑)

日本を視察したIOC会長・ラトゥール(ヤッペ・クラース)の感想は「オリンピックは東京にかぎる」で、“おもてなし”の成果でした!子供の遊び、日の丸弁当まで褒められるとは思わなかった。(笑)
ラトゥールに嘉納を尊敬する気持ちがあれば、日本はこのように見えてくるということ。
嘉納の柔道で結ばれた人との絆がいかに強いものであったかを教えてくれます。

一方、走る以外に取り得のない四三の家出は、2・26事件勃発で不在を気ついてもらえない。まったくの存在感なしです。
義母・幾江の許しを得て上京できることになり、つい漏らした「俺なんかおらんでも寂しくなかでしょう」と嬉しそうに声をあげ、幾江を激怒させ、池部家の大騒動。大笑いしましたが、老いていく幾江への心使いにかけ、四三の無神経に腹が立ちました。(笑)こういう人は多いということでしょうか!

本格的な小松のマラソン選手育成が始まっていましたね。小松と“りく”がどうやって知り合ったかも気になりますね!

***
田畑の家では菊枝(麻生久美子)がベルギー国旗の手旗をつくり、熊本では四三が置手紙を残し家出、孝蔵一家(森山未来)が雪の中引っ越し中。昭和11年2月26日のこのとき、「2・26事件」が勃発した。
陸軍の青年将校らが「昭和維新」「尊皇暫間奸」をスローガンに決起した。午前5時、彼らは赤坂の高橋是清邸(荻原健一)を襲撃し、高橋は中橋中尉(渋谷謙人)の凶弾に倒れた。
警視庁も占領され大混乱となる中、朝日新聞政治部の記者は、号外を刷る準備に取り掛かっていた。
午前6時、内務省から一切の記事を差し止めるようにと連絡が入った。

このころ、家出した四三は小松(仲野太賀)とともに「カフェ・ニューミカワ」にいた。早朝、家出を決行したものの、東京は暴動が起きて大混乱だと知らされ、家出を中止したがすぐに家に帰るつもりはなかった。スヤ(綾瀬はるか)がすっかり手厳しくなり困らせてやろうと思ったから。(笑)

午前9時、将校たちは数10人の着剣した兵を率いて「偉い人を出せ!」と朝日新聞社になだれ込んできた。
1反乱軍を見る(表紙)
緒方(リリー・フランキー)が対応に出ると、返り血を浴びた中澤中尉が「高橋是清に天誅を下してきた」と告げ、「国賊新聞を叩き潰す」と叫ぶ。緒方が「中に社員はもちろん女子供がいるからそれを出す」と皆を避難させようとすると、政治が「あんなやつらに屈するんですか。これでは言論の自由は終わり」と反対した。緒方が「あいつらは高橋是清を殺して来ているんだぞ!」と政治を制した。
兵士たちが室内を荒らしはじめ、壁のロサンゼルスオリンピックの記念写真を床に叩きつけた。政治は思わず兵士につかみかかり、殴られて血を流しながら立ち向かった。緒方から「外に出ろ!」と命じられた。
語りの志ん生(ビート・たけし)はこの時代は笑いにならないと喋るのをここで止めた。

このころ孝蔵は高座で演題「目黒のサンマ」を喋る予定だったが、午後5時ごろに中止になった。(この噺はIOC会長ラトゥール接待シーンにリンクする)

午後8時半のニュースで事件の概要がつたえられた。
夜に帰ってくると、スヤも幾江(大竹しのぶ)もラジオの緊急ニュースを聞き入っていた。ふたりは、四三の家でにも気づいていなかった。(笑) 

翌27日には戒厳令が敷かれ、反乱軍が投降する29日までの3日間、東京は厳戒態勢が続いた。

政治は菊枝に起こされ「2~3日会社に止まる。ろくな記事も書けないのに」と喋っているところに、山本(田中美映)がやってきて「ラトゥールがサンフランシスコを出航し、2週間後、横浜に着く」と知らせた。治五郎は「こんな時だからこそオリンピックだ」と言ったという。
山本が去ったあと、政治は菊枝に「俺は怖い。是清さんも、犬養さんも、俺が関わった政治家が次々に殺された。次は緒方か河野(桐谷健太)か俺か?政治記者でなるんじゃなかった。なまじっか政治に足突っ込んだから、政治記者でなかったら能天気にオリンピックに邁進できた」と嘆いた。
菊枝は「だったらやめたらどうですか。あなたの忙しさは半分になり夫婦の時間が増える。新婚旅行に行ける、タバコの数も減ります。いいことばかりです」と返事した。これに政治は「冗談じゃない、あの感動!オリンピックは今しかない。今やらなければ日本の言論の自由は武力に屈してしまう」と奮起し、オリンピック招致委員会が開かれる東京市庁舎へ向かった。

市庁舎には治五郎、牛塚(きたろう)、副島(宮本信也)、山本がすでにそろっていた。治五郎がタトゥールが東京へ視察に来ることを聞き、興奮していた。
2治五郎、政治の対立
政治が「いつ反乱軍と鎮圧軍の戦いが始まるか、民間人が巻き込まれるかも分からない。この日本で今、オリンピックやれると思っているの?でもやりたい!あなたが本気ならついていく」と治五郎に大声で話す。「やれるとか、やりたいとかじゃないんだよ、やるんだよ!そのためなら、いかなる努力も惜しまん!」と治五郎。これで政治の腹が決まり、ラトゥールを迎えるための作戦会議が始まった。

3月19日、ラトゥールがやって来た。東京市庁舎では人々が万歳で、子供たちが「走れ大地」と歌って出迎えた。市長室で、治五郎が牛塚(きたろう)、副島(塚本晋也)、杉村(加藤雅也)を紹介すると、ラトゥールが嫌な顔を見せた。
4IOC出迎え

いよいよラトゥール全力接待作戦が始まった。
治五郎の発案で、ラトゥールの移動には清さん(峯田和伸)の人力車が選ばれ、政治が写真集を持って同行した。
ラトゥールを乗せた車はまず、桜の咲く隅田川沿いを新橋方向に向かい、歌舞伎を鑑賞と料亭での会食ののち、オリンピックのメイン会場神宮競技場へと向かった。
6清さん

ここで、治五郎が「関東大震災のとき、競技場が避難所として市民に開放され運動会をやった。戦争の痛手を受けたアントワープであなたのやったオりンピックに感銘を受けた。東京も13年かけてようやく立ち直った。ここでオリンピックをやりた」と大変な熱意で語った。そのとき朝鮮からやってきていた孫と南が練習していた。ラトゥールが金栗かと聞いた。
治五郎が「10万人が見物できるよう拡張する」と話すと「大きさではない、オリンピックは市民のものだ」と話す。その後、アトゥールの希望で岸の墓参りをした。
ラトゥールはYMCAプールで水泳選手を激励し、寄席で孝蔵(森山未来)の落語「目黒のサンマ」のおち「どこで仕入れた?日本橋魚橋。それはいかん、サンマは目黒に限る」を聞いた。
この“おち”、会場が立派ならいいオリンピックではなく、オリンピックを迎える人々の気持ちが大切ということ。次の東京オリンピックでも考えさせられる問題ですね!
その後、政治はラトゥールを清さんの車で、近道をして諏訪神社を通ると、ラトゥールが車をとめて、子供たちがゴム跳びや竹馬で遊んでいるのに興味を持った。女の子が花輪を編み、勝った小どもの頭に乗せるのを見て、驚きの声をあげた。
サンマの匂いがしてきて、ラトゥールに清さんは自分の弁当箱を差し出した。おかずは小梅が漬けた梅干しだけの日の丸弁当だった。

ラトゥールの視察が新聞に載ると、池部家では四三が「話があります!」と切り出し、治五郎からの「東京オリンピックにはひとつ力になって欲しい」という手紙を幾江とスヤに見せていた。
5四三
幾江が「女房を置いて行きたいか。行きたいなら行ったらいい。そのかわり、立派に、きっちりなして来い」という。
これに四三が「よかった。4年後の大会を見届けたら帰ってきます。俺なんかおらんでも寂しくなかでしょう」と嬉しそうに声をあげた。(笑)
すると幾江が「さびしくないわけがなかろうが!他人行儀に冷たいことを言うな。情が移る、私は倅を亡くしお前は親を亡くしており、同じ墓に入る以外にない。走ってばかりの息子でも、4年間いなかったら寂しい、それが母親だ。このバカ者が!」と泣いた。(笑)四三はもう身の置き場がなかった。「俺もさびしか」と幾江に抱きついて、子供もスヤも一緒になって泣いて、詫びた。大笑いでした。

治五郎はラトゥールを講道館につれていき、柔道の稽古をつけた。そして、杉村に通訳させ、「東京招致のためにムッソリーニを説得せよと命じたのは自分である。悪いことをした。あなたの顔に泥を塗った」と謝り、「東京はヨーロッパから遠いというだけで認めてもらえなかった。若い者にタスキを渡そうと禁じ手を使った。副島も杉村もよくやってくれた。東京はもし東京でオリンピックをやってくれたら、あなたの株は絶対に下げないよう、最高のアジア初の歴史に残る平和の祭典にして見せる!」と申し添えた。潔い治五郎の謝罪には感動でした!
杉村がIOC委員を辞退することを申し出た。政治が「杉村さんの功績です。お疲れ様でした」と声を掛けた。

9日間の滞在を終えたあと、ラトゥールは記者会見でこう語った。
「この国では子供でもオリンピックを知っている。戒厳令の街で、子供たちがスポーツに熱中している。日本の隅々まで、弁当箱の中までオリンピック精神が満ち満ちている」。政治は「1940年のオリンピックは東京に間違いないですね」と念押しをした。「オリンピックは東京にかぎる」とラトゥール(五りん)

人力車で走っていてラトゥールが、街を走る四三と小松の姿を目にし、“金栗“と声をあげた。
***

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「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(2016)

1ポスター
キャプテン・アメリカのヒーローとしての覚悟、責任の取り方に泣きました。それに比して、アイアンマンの子供っぽさ。ナターシャが“なじった”「あなたにあるのは、エゴだけ!」のとおりです。
しかし、ここで奪ったキャプテンの楯を「エンド・ゲーム」で彼に戻すシーンに、アイアンマンの気使いが分かるという、うまい作品になっています。( ^)o(^ )
戦争の勝利者ばかりを描くのではなく戦で負けた者たちあるいは犠牲になったものたちへの想い、さらに国際連合だけで世界の平和、安全が得られるのか。これに対するひとつの答えがあり、すばらしい作品だと思います。

本作は「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011)と、2014年の「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014)の続編となるシリーズ第3作目。「MCU」シリーズとしては第13作品目。
この作品を理解するには、多くに関連作品を観ておくとより楽しめ、これまでの「MCU」作品の総括のような作品だと思います。

監督はアンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ。細部スタッフ、キャスト:
https://ja.wikipedia.org/wiki/シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
あらすじ:
マーベルヒーローが集結した「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」の闘いから1年後、キャプテン・アメリカとアイアンマンという「アベンジャーズ」を代表する2人のヒーローの対立を描く。

人類の平和を守るアベンジャーズの戦いは全世界へと広がるが、その人的・物的被害大きさから、アベンジャーズは国際的な政府組織の管理下「ソコヴィア協定」に置かれ、無許可での活動を禁じられる。

一般市民を危機にさらしてしまったことへの自責の念から、アイアンマンはその指示に従うが、「自らの行動は自らの責任で持つべき」という持論のキャプテン・アメリカは反発。2人の意見はすれ違い、一触即発の緊張感が高まっていく。

あるひとつの暗殺事件をきっかけに、アイアンマン支持派とキャプテン・アメリカ支持派が直接衝突する事態となり、その事件の裏に隠されたトニー・スタークとステーブ・ロジャーズの想いがぶつかり、ついにふたりは・・。
3対決
              *
ソコヴィア協定に関するトニーとスティーブの考え方の違い、ナターシャのどちらにつくかと揺れる心を理解するには、ステーィブとの関係を押さえておく必要があります。
協定発議の直接原因がスティーブの起こした事案であるだけに意地でも参加できなかったことが分かります。

双方に別れての闘い。どちらの派で戦うか、ヒーローそれぞれの心情がよく描かれ、戦ってみて、相手の心情を知るという切ない気持ちが伝わってきます。
騒動を起こした張本人・ヘルムート・ジモが吐く「組織を他人に潰されたのなら元に戻せるが、内部から潰れたのは戻らない」という言葉が痛いほど身に染みるヒーローたちの行動でした。

相戦うシーンはそれぞれの個性ある闘い方が見どころ。特に新しくメンバーに入ってきたアントマンとスパイダーマンの闘いが面白い。どのヒーローの闘いもすばらしいが、スカーレット・ヨハンソンが演じるナターシャの闘いがよかったです!!

トニー・スタークの決して許すことの出来ないバッキーと彼を庇うスティーブへのわだかまりをどう解決するか?相手の不義理を攻めているばかりでは、自分の人生が無駄になります。
これに比してトニー・スタークに送ったスティーブの手紙、さすがにヒーロー中のヒーロー、トニーへの愛に溢れていました。もしこれがわからないトニーならば大馬鹿者です!!

自分の父を殺されたティ・チャラ。相手を生かして罪に向き合わせ自分の生きる力にし、さらに、追われるスティーブとバッキーを引き取るという度量の大きさに感動です。

***
冒頭の1991年、シベリアのヒドラ研究基地で脳に暗号を埋め込まれバッキーがウインターソルジャーとして生き返り、「制裁して奪え!」という命令に従い、オートで追いかけ乗用車を襲い4袋の血液を奪うというシーン。
これが伏線となり、アベンジャーズが分裂し、トニーとスティーブの絆が切れるという物語。スタートがすばらしい!!

ヒドラの残党で元S.H.I.E.L.D.の特殊部隊隊長・ラムロウが武器売買で暗躍中。感染病病原菌を奪いに来たラムロウ一味を逮捕するため、スティーブはナターシャ、サム、ワンダを率いて、ナイジェリアの都市ラゴスに出撃する。この戦闘で奪われた病原菌を取り戻したが、その際スティーブが窮地に陥り、これを救うために放ったワンダのテレキネシス威力が大き過ぎてビルを崩壊、市民に大きな損害を与えた。
この件で国際社会から批判を浴び、強大な特殊能力を持つヒーローやスパイたちによって構成されたアベンジャーズを、国際連合の管理下に置くことを規定とする「ソコヴィア協定」が定められることになった。

しかし、スティーブには個人的に受け入れられない理由があった。責任感の強いスティーブには、これに縛られことなく人を救いたいという気持ち、さらにこの事件にかっての戦友バッキーが絡んでいた。自分で始末したいという気持ちがあったと思う。トニーがいくら協定参加を誘っても聞き入れなかった。
2協定に入らんか

ウィーンにてソコヴィア協定の署名式が執り行われる式典会場で爆破テロが発生し演説中だった超文明国ワカンダ王国の国王のティ・チャカが死亡するという事件が起こった。バッキーが犯人と断定されたが、スティーブは直接会って確認しようとサムとともにブカレストに潜伏中のバッキーに接触するが、そこを警察特殊部隊に急襲され、逮捕された。スティーブには前作でのバッキーとの闘いで“ヒドラの暗示は解けている”という確信があったのではないでしょうか。

ベルリンの対テロ共同対策本部で、精神鑑定医として潜入していたヘルムート・ジモがバッキーを尋問。彼の放つ暗号でバッキーはウィンター・ソルジャー化しヘリコプターを奪って逃走を図るが、スティーブがそれを阻止。2人はヘリコプターごと川に落下し、そのまま逃走し行方不明となる。サムも姿を消した。

スティーブはバッキーから「自分以外にウィンター・ソルジャーが作られた」と聞き、元に戻ったバッキーとサムを伴い、彼の恋人ペギー・カーターの姪・シャロン・カーターの計らいで、クインジェットでシベリアのヒドラ研究基地へ向うためライプツィヒ空港に到着したところに、アイアンマン派がやって来た。

トニーは対テロ共同対策本部副指揮官・エヴェレット・ロスからスティーブら3名の確保を命じられ、ヴィジョン、スパイダーマンを仲間に引き入れ、ライプツィヒ空港にやってきたのだった。   
    アイアンマン派
4トニー派
両者がもう後に引けない。スティーブはサムの進言でアントマンに協力を求めた。また、スティーブを慕ってるワンダ、クルントンが駆けつけた。
    キャプテン・アメリカ派
5アメリカ派
戦闘が互角であったが、かってバッキーと戦ったことのあるナターシアがスティーブの企図を察し、ふたりがクイーンゼットで脱出するのを支援する。脱出を阻止しようとヴィジョンが放ったエネルギービームがウオーマシンに命中し友軍相撃となり、悲劇を生むことになった。辛い闘いであった!

ナターシャが「スティーブは助けを求めている」とトニーを説いたが、聞く耳を持たなかった。しかし、事件の背後に元ソコヴィアの特殊暗殺部隊“エコー・スコーピオン”隊長・ヘルムート・ジモの策略であることを知り、サムらが捕らわれている大西洋に浮かぶラフト刑務所を訪ね、サムからスティーブの居場所を聞き出し、シベリアのヒドラ研究基地を訪れる。

トニーはスティーブに自分が間違っていたことを謝罪し、ともにジモと対峙することを約束した。
しかし、対峙したジモから「父・ハワードと母・マリアはバッキーに殺された」とフィルム映像を見せられる。
スティーブが「バッキーはウィンター・ソルジャー化されていたんだ!」と言うが、トニーが激怒して襲い掛かり、バッキーの左肩を切り落とした。
5バッキーとトノー
止めに入ったスティーブは楯を彼の胸に突き立てた。「父の作ったその楯を置いて行け」と叫ぶトニーの言いづけとおり、楯を置いて去っていった。

スティーブはラフト刑務所に囚われていたサム、ナターシャ、スコット、クリントを救出し、バッキーを伴って、ティ・チャラの好意でワカンダ国に亡命した。
そして、トニーに宛て、手紙を書き連絡用の携帯を送った。
「僕は18歳の時から独りだった。陸軍でもなじめなかった。信じているのは個人、個人だ。だから裏切れないんだ。君を傷つけたこと、両親のことを黙っていたのは君のためだった。自分自身を守っていたのかもしれない。すまなかった。いつか分かって欲しい。君は信じる道を選んだ。俺もそうだった。君に賛成しようと思ったができなかった。君らが僕を必要とする時、必ず駆けつける」というものだった。
          
スティーブの一点の迷いもない生き方に涙です。
****

「ソラニン」(2010)

1表紙
公開から10年を経て、Mステで取り上げられ、歌う俳優ランキング第1位に取り上げられるという、記念すべき作品です。

勤続2年で自由を求めて会社を辞めたヒロインの芽衣子(宮﨑あおい)と、一緒に暮らすバンドマンでフリーターの種田(高良健吾)、バンド仲間のビリー(桐谷健太)、加藤(近藤洋一)が夢と現実の間で葛藤しながらも前に進もうとする青春恋愛物語。

原作は浅野いにおさんの同名コミック作品。監督は三木孝浩さん、本作が初監督作品です。この作品以降、次々に青春映画のヒット作を連発し、今では押しも押されぬこの道の大家。監督にとっても印象に残る作品です。

「ソラニン」は、芽衣子の勧めで音楽への思いをつないだ種田が作る曲名で、宮崎あおいさんが作中で歌に初挑戦します。篤姫で絶頂期にあった宮﨑さん、この時期はソラニン状態で、これまで演じてこなかった歌を唄うことで、ここから抜け出すために選んだ作品です。
このために、短時間で歌とギターの練習をしたという宮﨑さんの女優魂をみることが出来ます
恋人の突然の死、彼の残した歌を唄い彼の死を乗り越えようして歌うラトシーンが秀逸です。

****(ねたばれ)
芽衣子は、「会社やめちゃおう」と赤い風船がふわふわと空に飛ぶように、その日辞表を提出します。種田は「それ現実逃避だよ、やばいよ」と言うが「種田がどうかするといったじゃん」と丸投げです。種田は音楽の夢をあきらめきれず、フリーターをしながら音楽活動を続けていましたが、「趣味が音楽なんて一銭にもならない、これからの生活どうするか」と不安を漏らします。
2同棲

「今の仕事はつらいの、好きならやったら、バンドやってよ。才能ないからといつも逃げている。評価されて価値が出る。本当にだめだとわかったらその時は考えたら」という芽衣子のすすめで、「失敗したら、一緒に死んでくれるか」と種田はアルバイトを辞め、「ソラニン」という楽曲を書き上げ、レコード会社に持ち込みます。

会社は楽曲には触れず、アイドル歌手のバックバンドにならないかと誘いますが、芽衣子の一存でこれを断ります。種田は、社会は才能を求めているのでなく、需要と供給の関係で動いているという現実を思い知らされます。
種田は「もうバンドはやめる」と言い「君は何もしないで、おれに押し付けているだけだ」と芽衣子を責めます。芽衣子は「おれがどうにかするといったじゃん」と反発、これからの生活に不安を募らせていき、二人の仲はぎぐしゃくしていきます。

種田は「おれ出かける」と出て行き帰って来ず、芽衣子は音楽活動をすすめたことを後悔します。5日過ぎて、種田から電話で「前の会社に戻って働くことを決めた、自分は音楽が好きなだけだったんだ、これからは険しいみちではあるが頑張る」と伝へて、芽衣子の「もう別れるということは言わないで」に「それから、最後のひとこと(きみが好きだ)」で電池切れ。夢を諦め無念の涙でオートバイを走らせる種田は信号無視で事故!!! 

ここまでの宮崎さんは、とても可愛くて、ふわふわした感じ、種田とラブラブ感、時に見せる不安感をうまく見せてくれます。特に、楽曲が出来上がって、大きな希望が見えて、仲間と一緒に花火で祝うシーンは夢のなかにいるようで、美しいです。後半の芽衣子の苦しさが強調されるうまい演出です。
4将来の不安

芽衣子は、一人暗い部屋のなかで、もしすんなり別れていたら、もし私が何も言わなければ、会社を辞めなければ、付き合っていなければと苦悩します。宮崎さんの暗い表情が印象的です。それでも種田の音楽友達、ビリーと加藤に励まされながら、お花屋さんでバイトを始めます。

種田の父が彼の遺品整理に訪れ、「彼は田舎に帰るつもりでいたらしいが、東京で大切なものが見つかったから・・」の思い出に芽衣子は涙します。そして、「彼を忘れないでやって欲しい。彼が居た事を証明し続けるのが、あなたの役割なのかもしれない」と言い、芽衣子の希望で種田のギターを形見分けしてもらいます。

そして種田の音楽仲間ビリーと加藤に「音楽をやりたい、死ぬほど練習する」と告げます。練習での宮﨑さんの指の動かし方が半端ではありません。しっかり練習を積みましたね。

加藤が「ライブやるが、あの歌えるやつもういないんだ」に、芽衣子が「ソラニン」を歌いたいと言う。初めてのライブだけに、度胸付にとギターを背負って路上ライブに向かうシーン、絵になります。

悲しみは消えているように見えて、時に見せる悲しみ、練習の最終日迎えにきたビリーの自転車でスタジオに向かう際、ビリーの「もう平気か? 悲しむだけではだめ。悲しくないが、あんな死にかたして、考えると涙が出て・・」の言葉に、うつむく芽衣子。このシーンには泣かされます。
7大丈夫か!

いよいよライブ、芽衣子は「ソラニンは君との別れの歌」だと思っていたが、「いまは過去との別れの歌に思える」と言う。
熱のこもったライブシーンには、この物語に込められた「大切な人間を失った悲しみを乗り越えるために歌う」といメッセージが込められていて、あおいさんの歌声、ギター演奏が最大の見せ場です。汗ぐっしょりでありったけの魂をこめたその歌声は迫力があります。プロでもこうはいきませんね!!
種田の遺した「ソラニン」を自ら歌い上げることで、新しい人生がスタートします。
                *
三木孝浩監督は、このシーンについて、
「宮崎さんは、最初のリハーサルの時には“恥ずかしいからギターだけ”と言っていたのですが、気持ちがのってきてオフマイクで歌った時、その歌声が聞こえた瞬間に鳥肌が立ちました。宮崎さんの歌がすごく良かったので、実際にライブのシーンで使えることになり、とてもうれしいです」と語っています。

この後、あの有名な”earth music&ecology”のテレビCM、ロックバンドTHE BLUE HEARTSの「1000のバイオリン」をアカペラで歌うことにつながります。
****


“いだてん“第33回「仁義なき戦い」日本の裏切り!

1ムッソリーニ
1940年のオリンピック招致をめぐり互いに激しく争う東京とローマ。治五郎(役所広司)は田畑(阿部サダオ)らをイタリアの独裁者ムッソリーニとの直談判に派遣する。しかし、ムッソリーニとの会見直前、IOC委員・副島道直(塚本晋也)が急病で倒れてしまう。招致の命運がかかっていたIOCオスロ総会は、他国の政府首脳に働きかけようとした日本の動きを巡って大紛糾。絶対絶命の状況下で、治五郎は逆転の秘策を思いついく。
感想:
「誰が仁義を破ったか?」オリンピック精神に関わる大切な回でした!
第12回オリンピック開催地として最有望なローマをムッソリーニに直談判して譲ってもらうという試み。嘉納治五郎が持病で赴けず、代わって副島(加藤雅也)が自らの病躯を押してムソリーニと面会。ムッソリーニは副島のなんとしての東京開催という覚悟に感動し、東京に譲ると確約をした。このころの日本人のスケールの大きさ、物おじしない態度に感心します。日本人としての気品がある副島:塚本さんの演技に痺れました。

開催地を決定するIOCオスロ総会。当然イタリアは辞退すると杉村ひとりが参加。ところが、イタリア代表・ボナコッサは「政府はスポーツに干渉できない」とこれを拒否。杉村はかっての国際連盟事務局長だったコネで再度ムッソリーニを動かそうとしたが拒否された。が、イタリア代表3票が東京に投じられることになった。しかし、会長ラトウールがこれに応ぜず、開催地決定は翌年に延期された。杉村:加藤さんの、今の日本人にはめずらしい、ちょっと強引なところもありますが自信に溢れた元外交官という演技がいい!

ラトウールは「なぜ嘉納は来ない!」と悔やんだという。ラトウールの1票は日本に決めていた。嘉納治五郎のオリンピック思想が国際的に受け入れられていた。嘉納が参加するだけで、オリンピックが政治利用されることを防げたということ。
オリンピックはなんのためにやるのか?すこし遠回りしたようですが、政治を持ち込んではならないと気づかされました。

嘉納はラトウールを東京に招いて“おもてなし”で決着しようとしているがはたして・・。

四三とスヤの関係が逆転してしまって、四三には熊本にいることは地獄のようです。(笑)。嘉納の誘いを受け家出、四三には小松(仲野太賀)でオリンピックのマラソンを制したい夢がある。ベルリンに間に合うのか? 五りん(神木隆之介)がすでに明かしているように小松は満州に出征しているから、悲しい運命が待っているかも?

2・26事件の勃発。この状況下も治五郎らは東京開催を主張できるのか?

***
1940年のオリンピック開催地を東京にするため、IOCオスロ総会が始まる前にムッソリーニを説得しローマに降りてもらうという奇策に出た。
ところが治五郎は持病の腰痛が再発して歩くこともできず、担架で病院に運ばれた。そのためムッソリーニに会いに行く役目は副島に託された。イタリア大使の杉村はムッソリーニとの面談を取り付けた。政治は写真集「日本」をムッソリーニに贈呈するという大役を治五郎から任されて副島に同行した。

昭和10(1935)年1月14日、副島と政治は、ローマで杉村と合流した。杉村によると「ムッソリーニは気分屋で『陽気な独裁者』と呼ばれ、4年ぐらいは待ってくれる」という。

副島、杉村、政治はそろってイタリア首相官邸を訪れた。ムッソリーニが現れたとたんに副島が倒れてしまった。
副島は病院に運ばれ、政治が付き添った。「余命1か月」と診断された。(田畑の聞き違い?)(笑)
首相官邸に残った杉村はムッソリーニに「副島は長旅の疲れで朝から発熱していたが耐え切れず病院に」と事情を説明したが、ムッソリーニが「サマライ!」と激怒して席を立った。

入院中の治五郎は電報でこの状況を知り、自分が行くと言い張ったが、担当意の東龍太郎から「脊椎損傷」と診断され止められた。東龍太郎はスポーツ医学の権威で、のちに東京都知事として1964年東京オリンピックに関わりオリンピック知事”と呼ばれる

副島はその後、ローマの病院で生死の境をさまよった。2週間経ってようやく医師から外出許可をとり、杉村、政治とともにムッソリーニを訪ねた。
2ムッソリーニを説得
副島と杉村はムッソリーニを前に、オリンピック東京招致の意義を力説した。副島が「オリンピックは世界の祭典。しかしヨーロッパばかりだ。アジア初のオリンピックを東京に招致するまで祖国の地を踏まない覚悟だ。1944年にローマで開くよう協力する」と申し出ると、ムッソリーニは「その通りだ。あなたが病を押して会いに来てくれたことが心を動かした。予定どおり会っていたら拒否した」と15分で会談は終了した。

この知らせに日本中が大騒ぎになった。新聞は「第12回大会、イタリア首相の譲歩」の見出しが躍り、治五郎はIOCオスロ総会での勝利を確信した。
資五郎は「東京でオリンピックを行うならば、四三が適任」と四三を東京に呼び寄せることを考えていた。

熊本。四三は、小松とともに熊本の山道を走っていて「カフェ・ニューミカワ」なる店の看板を見つけた。行ってみると、店主は美川(勝地了)だった。美川は関東大地震後、全国を渡り歩いた末、この店を開いたという。
四三が小松を弟子だと紹介すると、「金栗先生の前でおこがましいが、オリンピック?」と聞く。小松は「日本人がまだマラソンで獲得してないメダルを東京オリンピックで取りたい」と返事した。「あなたの夢は?」と聞くと美川が「大陸かな・・」と返事する。
6美川

2月、1940年のオリンピック開催地を決めるIOCオスロ総会が開かれた。副島は完治せず、杉村がひとりで十分と出掛けた。しかし、オスロにやってきた杉村、ムッソリーニの約束があるとはいえ、東洋人はひとりで心細くなった。
総会の会場にはイタリア代表のボナコッサ伯爵の姿があった。ボナコッサは10年来、私財を投じてオリンピック招致に励む「イタリアの嘉納治五郎」ともいうべき人物だ。

開会するとIOC会長のラトウールが1940年の開催候補地がローマ、東京、ヘルシンキだと告げ、ローマが入っている。ボナコッサが「設備は整っておりローマは自信を持っている」と発言。これに杉村は驚き、言う積りはなかったが、「すでにムッソリーニ首相から日本に事態の申し出があった」とスピーチした。しかし、ボナコッサは「聞いている。しかし、イタリヤでは政府といえどもスポーツに干渉できない」と主張した。投票まであと3日。
3イタリア代表団はおかしい

東京でこれを知った副島は政治にオスロに行けと指示した。政治はまずイタリアに行きムッソリーニに会いに行ったが会えなかった。改めてオスロに行くことにした。

杉村は国際連合時代に部下だったイタリアのロドロ公使を通じて再度ムッソリーニに事態を嘆願しようとしたが、ロドロは「首相でもその権利はない」と断った。


ところが決戦の日。ボナコッサは「イタリアのIOC委員が持つ3票を不本意ながら東京に投じる」と宣言した。
しかし、タトウールが「IOCは政治的圧迫で議決があってはならない。杉村、副島はこれに抵触した」とこれを止めた。開催地の決定は翌年に延長するとラトウールは決定し、杉村が「政治的取引はない」と反論したが「ここは国際連合でないIOCだ!」と耳を貸さない。杉村が「東京は関東大震災で全部失ったが、その復興を見せたい」と食い下がると、ラトウールは「なぜ嘉納は来なかった。彼が来ていればこうはならなかった」と言う。杉村は絶句した。

やっとオスロに着いた政治に、杉村は「思い知った。日本への一票はすなわち嘉納治五郎への一票だった。誰もがいうムシュカノーは偉大なサムライだ」という。「嘉納は英語が下手だかあの人には人望がある。俺は嘉納治五郎にはなれない」。
政治が「なれないし、ならんでいいでしょう」というと「嘉納はお前を買っている。お前はなるよ!」と。この言葉が1960年東京オリンピック誘致に政治を駆り立てたのではないでしょうか。オリンピックは政治のかけ引きの場でなくでなく人と人の繋がりというのがすばらしい。

熊本の四三。スヤ(綾瀬はるか)に日記を読まれ美川に会ったことを「ゴキブリ、あれは貧乏神!」とボロクソに言われる。(笑)
四三は美川に「あんな女になった」と話せば(これもひどい旦那だ(笑))、「昔は可愛かった」と美川。四三は「旦那さん旦那さんと言われるが招きネコと一緒。家に縛られて面白くない。小松一緒に家でしよう」とぼやく。スヤがすっかり独裁者になりましたね!(笑)
4この仁義なきことどうします!

帰国した政治、副島、杉村は東京市庁舎で牛塚(きたろう)、山本(田中美映)と対策を話し「治五郎にラトウールに謝罪に行ってもらうしかない」と話が出たところに、治五郎が現れた。治五郎は「東京に呼んで、謝りついでに東京を視察してもらう。至り尽くせりのおもてなしで、接待するんだよ」という。治五郎はすでに、ラトウールに誘いの手紙「いかに東京がオリンピックにふさわしいか、オリンピックを待ち望んでいるかを見て欲しい」を出していた。

秋になりラトウールは訪日の意向を示し、ローマは正式に辞退を表明した。

政治はバー「ローズ」で河野(桐谷健太)に会いと、「ヒトラーがラトウールに圧力をかけ、東京指示を要求し、日本に恩を売ったんじゃないか。ラトウールの行動には裏がある」という。
政治はオリンピックを外交の道具のように捉える考え方に違和感を覚え「オリンピックは2週間かけての運動会。いつからそんな大仰な、国の威信を賭けた一大行事になったんだ」と叫んだ。
するとマリー(薬師丸ひろ子)が「田畑さんがメダルを沢山取ったからよ。あれで日本人もやれる、東京にオリンピック持って来られるって、思っちゃったのよ」という。政治は「違う」と否定すると河野が「東京に決まれば、あと4年は戦争にならん」と。

第12回オリンピック招致委員会が発足。政府から金が出されることになった。
会合で政治は「国のためにやるのではない。若いもののためにやるんです」とオリンピック開催の趣旨を述べた。

池部家では四三が、治五郎からの上京を促す手紙を受け取った。四三は家族に書き置きを残し家出を決行した。

孝蔵は暮らし向きがよくなり、7年暮らした業平の長屋を出ることにした。雪の朝、孝蔵(森山未来)とおりん(夏帆)は引っ越しの荷物を運び出す。その日は昭和11(1936)年2月26日だった。

オリンピック開催のカギになる“おもてなし”とは、日の丸弁当?
***

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019)

1ポスター
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演、“シャロン・テート殺人事件”を背景とした物語だということで、駆けつけました。とても著名なクエンティン・タランティーノ監督なんですが、あまり作品は観ていない。

感想は、とてもうまい画つくりと音楽で、当時の映画つくりに、特に昔のウエスタン映画を観ているようで、アクションあり、バイオレンスあり、大笑いして、ラスト13分のシャロン・テート殺人事件の“おち”に唸りました。なぜこの“おち”なのか?
これをつき詰めていくと、監督が映画界に変革の芽が出てきた1960年代を如何に愛し、後世に伝えたいかという想いに辿りつきます。
街の風景、映画館、レストラン、スタディオ、広告、車、映画、音楽等すべてが1969年の世界で、それらすべてに映画に関わった人々の想いが詰まっていて、ここで触れら語られることはないですが、後に大輪の花となっていくエピソードに繋がっているという、すばらしい作品です。

人生に平坦な人生なんてない。最悪のなかでのふたりの生き方に、名は残らないがだれかの記憶のなかに生きていくことのすばらしさを教わります。

ヒロインのシャロン・テート役にマーゴット・ロビー、その他ダコタ・ファニング、ダミアン・ルイス、デイモン・ヘリマン、ラファル・ザビエルチャ、アル・パチーノらが参画しています。

あらすじ:
テレビ俳優として人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すリック・ダルトン(ディカプリオ)と、リックを支える付き人でスタントマンのクリス・ブース(ブラッド・ピット)。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らすリックと、対照的にいつも自分らしさを失わないクリフだったが、2人は固い友情で結ばれていた。

そんなある日、リックの暮らす家の隣に、時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と、その妻で新進女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)が引っ越してくる。今まさに光り輝いているポランスキー夫妻を目の当たりにしたリックは、自分も俳優として再び輝くため、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することを決意する。やがて1969年8月9日、彼らの人生を巻き込み映画史を塗り替える事件が発生する。(映画COM)
                *
物語は、1969年2月8~9日のリック、クリス、シャロンの行動を交差させながら描き、リックとクリスがイタリアで仕事を終え帰国した6か月後、8月9日の事件に跳び結末ということになります。

物語の大部は、TV西部劇で活躍したリックに陰りが見え始め、マカロニ・ウエスタンで活躍してみてはというエーゼントの誘いに苦悩するリックとそれを支えるクリス、隣に住み始めたシャロンの行動描かれますが、この中に当時のハリウッドの話題がぎっしりと詰まっていて、退屈することはありません。
目につくもの、耳に入るものがすべて映画の監督や俳優の交友や活動で、楽しませてくれます。なかでも、リックの西部劇の撮影シーン、クリスがヒッピーの本拠地スパーン牧場を訪れるシーンはまさにタランティーノが作る西部劇。楽しめます。

****(ねたばれ)
冒頭にTV「賞金稼ぎの掟」で活躍するリックとクリフへのNBCインタビュー。「スタントマンとは何か」という質問があり、「俳優ができないことをする」と答えていますが、クリフはリックの役を代行するだけでなく仕事の相談に乗り精神的に支える一心同体とも言える関係。架空の人物ですが、同じような境遇にのちに大成するクリント・イーストウッドがいたということが物語を面白くしています。

リックはレストラン「ムッソー&フランク・グリル」で西部劇のエーゼント:マーヴィン・シュワーズ(アル・パチーノ)に会い、自分の演技力を売り込むために出演作を説明するなかに、ヒトラーの兵士を火炎放射器でぶっ殺すシーンがあります。このシーンが物語の最後で生かされ、実は監督作「イングロリアス・バスターズ」からの引用です。監督にはシャロン・テートを殺害したマンソン・ファミリーへの強い憎しみがあったのではないでしょうか!

シュワーズは「2年もたてば殴られ役しかない」と言い「マカロニウ・エスタンに出演してみないか」と持ち掛ける。リックはクリフに「やりたくない!」と泣きつく。この作品では、ディカプリオはよく泣く役で、これが面白い!(笑)
2泣くんじゃねえ!

この日、シャロンがイタリアから帰国するポランスキーを空港で出迎える。ポランスキーが「ヒッピーは大丈夫だったか?」と聞くから、彼は狙われていたのかな?

クリフの安全運転で、シュロ・ドライブに急ぐ。途中で「今日は太陽を浴びて・・」とShadee of Deep Perpleを歌いながらゴミを漁るヒッピー女性たちに遭う。この歌、マンソン・ファミリーのもの。そのひとりプッシー・キャット(マーガレット。クアリー)がウィンクを送ってくる。

ポランスキーのポスターを見て車を止め、リックがこのポスターに収まり写真を撮り、「ローズマリーの監督だよ。隣だから、俺、呼ばれるかもしれない」とつぶやく。このつぶやきがこの物語のエンドシーン。消えていった名もない俳優をポランスキーにつないでハリウッドを語るという、うまい演出だと思った。

このあと、クリフは自分の車でドライビング・シアターの跡地にあるトレーラーハウスに戻る。「セメントの女」(1968)とポスターが目に入る。帰りの激しいハンドル捌が見もの。クリフの気性の激しさが見られる。クリフ、まずビールを飲んで帰りを待っていた愛犬ブランディに餌をやる。これが本人のものより上等。(笑) このブランディがクリフと同じような気性で、ラスト13分で大活躍。(笑) 伏線を張りまくって物語が進むので目が離せない。

リックは、台本を抱えて、プールに浮かびセリフの暗証。スペイン語のセリフ?この地位を保ちたいということが分かる贅沢な生活と懸命な努力です。
3プールでセリフ

隣のシャロン・テート。ポランスキーとMG-TDをぶっ飛ばしてプレイボーイ・マンションに出向く。有名なワインセラー付きルーム、プレイメイトとセレブのパーティが映しだされます。「シャロンには元婚約者がいた。いまにポランスキーとくっつく」とスタイリストのジェイ・シブリン(エミール・ハーシュ)がこの噂を耳にする。シブリンはステーブ・マックイーンのスタイリストで、ブルース・リー(マイク・モー)とも知己の仲。プレイボーイ誌を向こうで買って、羽田に戻って機内に捨てるという記憶が戻てきます。(笑)

クリフがオーデイションでブルース・リーに会い、ブルースの大口が頭にきて、ぶっ飛ばし、そこに駐車していたシブリンの車を破損させ、大目玉を喰らう。(笑)  
ここでのふたりのアクションは見ものですが、人と人の繋がり、ハリウッドはひとつだと思わせるこれらのシーン。これが、監督の伝えたいことだと思います。暗い「シャロン・テート事件」で、余りにも大きなハリウッドの夢が消されたと、怒ったのがこの作品のテーマではないでしょうか。

次の日、新作撮影現場に着いたリック。「今日は出番がない」とクリフに「TVアンテナを修理してくれ!」と追い返す。
しかし、リックは監督にクリフを使ってくれるよう懇願するが「あれは女房を殺した男、雇えない」と断られる。

クリフは屋根に上り、ブラッド自慢の裸を見せてアンテナ修理。(笑) 隣の屋敷で音楽を聞くシャロンを目にする。ポランスキーが戻ってきたところに男・チャールズ・マンソン(デイモン・ヘリマン)が訪ねてきて、「どうも!」と挨拶して帰っていった。マンソンは何しにやってきたのか?

リックは西部劇「対決ランサー牧場の決闘」の撮影中。昼休みにセットの街を歩いていて子役トルーディ(ジュリア・パターズ)に会う。ジュリアが可愛いし、しっかりした演技をします。きっと大女優に育っていくでしょう。
ジュリアに「なぜ昼飯をたべない?」と聞くと「役の感情が鈍る。役名で呼んで!」と言われ、リックはジュリアに役者魂を教えられ、泣くんです!(笑)

リックがシェームス・ステイシー(ティモシイ・アリファント)、ウエイン・モウンダー(クール・ペリー)と共演、劇中で8杯も酒を飲みセリフを忘れ大恥をかき、もう酒は飲まんと悔やむシーン。笑えます。
4シャロン

このころシャロンは、白いミニに白いブーツで映画鑑賞に出かける。演じるマーゴット・ロビーがシャロンにそっくりというところが面白い。
本屋でポランスキーのためにとトーマスハーディの「ダーバヴィル家のテス」を買い求める。のちにこの本でポランスキーが映画を作ったことを知ると、「この女優をなぜ殺害した」という監督の怒りが分かります。

彼女は「この映画に出演してる女優よ」の無料パスで入場。「哀愁の花びら」を見る。この映画、彼女にはブルース・リーから教わったカンフーで立ち向かうシーンがあり、観客と一緒にこのシーンを大笑いする。

クリフは、リックの迎えにハリウッド通を走り、途中でヒッピーのキャットに出会い、車に乗せ、彼女が求めるセックスを断って、スパーン牧場に送る。牧場持主でかっての仲間ジョージ・スパン(ブルース・ダン)に会うためだった。
5ヒッピーを乗せるクリフ
ここはマンソン・ファミリーの屯する場所。荒野の決闘に立ったガンマンといった感じ。とにかく不気味で何が起きるかとヒヤヒヤです。ジョージの女スクィーキー・フロム(ダコタ・ファニング)の許しを得て、ジョージに会う。盲目で姿を見てもらえなかったが会えてよかったと帰ろうとすると車がパンク状態。怒ったクリフの暴力。ここが見どころ。(笑)

ここからは、前段のディカプリオに代わって、ブラッド・ビットが主役に躍り出て、監督の怒りの全部が込めた、激しいアクションをたっぷりと見せてくれます。(笑)

この日、リックとクリフは帰宅し「FBI」のビデオを見ているところに、偶然この映画をバーで見ていたマイケル監督から誘いがありイタリアに渡り、ふたりで4本のマカロニ・ウエスタンを撮って、6か月後、帰国。

そして8月8日夜。シャロンとポランスキーは「エル・コヨーテ」で。リックとクリフは「カサ・ヴェガ」でそれぞれメキシコ料理を食べた。リックの家に戻ったクリフは酔っぱらったうえに、薬を吸ってラリっていたところに男と3人の女(マンソン・ファミリー)が侵入してきた。
わけの分からないクリフと愛犬のブランディの大暴れ、さらに火炎放射器で立ち向かったリックで、賊を完膚なきまでに叩き潰すという壮絶なアクション。(笑)

この働きで、リックはシャロンから自宅への招待を受けた。
                *
名の無い俳優たちを通して、当時のハリウッドのすばらしさを唄いあげ、その未来を潰そうとしたマンソンへの怒りが描かれ、とても面白い、深い作品でした。
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